月刊青島--青島日本人会生活文化会発行
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ふるさと自慢

<宇治市>

みなさま、こんにちは。

オリックス中国実業の小川良典と申します。ふるさと自慢ということでお声をかけて頂きましたが、生まれは京都市、幼稚園から中学までは宇治市、高校は和歌山県日高郡みなべ町で過ごしましたので、どうしようかと少し悩みました。

今回は中学までの多感な(?)時期を過ごしました宇治市についてお話したいと思います。宇治茶といえば皆様聞いたことがあると思いますが、実は宇治茶は京都府、奈良県、滋賀県、三重県で栽培されているということはあまり知られていないかもしれません。それでもこれらの産地で生産された茶葉を京都府内で「宇治地域に由来する製法により仕上げ加工」したものが宇治茶として販売されています。

その中でも宇治市内ではあちらこちらに茶畑があり、私も小学校まで茶畑の間を歩いて通学し、お茶屋さんの店先で焙煎される茶葉の香ばしい香りを子供ながらに良い香りだと思って過ごしていました。

宇治は世界遺産となっている平等院(鳳凰堂は10円玉の裏に描かれており、みなさま見覚えがあると思います)、宇治上神社や中国建築が美しい黄檗山萬福寺など、多くの名所が点在する観光名所であり、宇治橋は大化2年(646年)に架けられたとされているように長い歴史を感じられる場所でもあります。

産業としてはやはり宇治茶が一番と言えますが、大正時代に設立された日本レイヨン(現ユニチカ)の工場や任天堂の工場もあり、かつては日産自動車の京都工場も宇治市に立地していました。

これらの中でも黄檗山萬福寺について少しお話したいと思います。

萬福寺は黄檗宗の大本山であり、インゲン豆を持ち込んだと言われる明の僧侶隠元隆琦が1661年開山した仏教寺院で、比較的新しい建築物でありますが、明朝末期の様式で建造された中国建築で、他の多くの寺院とは異なる外観を持っています。本堂である大雄宝殿は大きな反り屋根を持ち、鐘楼や鼓楼が左右対称に配置されていますが、これもやはり明朝の様式を踏襲したものとなっています。

また、萬福寺では開山以来中国語による読経が行われており、境内に入りお経の声を聴くとまるで明朝時代の中国に迷いこんだような気持ちになると思います。

このように、明朝を感じる黄檗山萬福寺、平安時代の神社・仏閣や宇治橋周辺に点在する宇治十帖の古跡、宇治川での鵜飼等、四季を通じて楽しむ事が出来る宇治は体験する価値のある素晴らしい場所です。

また、少し足を延ばせば、宇治市からは外れますが、和束の茶畑はこれから新茶のシーズンを迎え、本当に美しいお茶の畝を見ることが出来ます。体験ツアーもありますのでこちらも試してみて頂ければと思います。

日中韓の移動制限も解除されましたので、今年は是非日本帰国の際に宇治市を訪れてみてください。


黄檗山萬福寺 大雄宝殿    出典:黄檗山萬福寺



平等院鳳凰堂            出典:平等院

 

 
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